メディカルイラストの必要性:論文紹介シリーズ第三弾OPINION
2022/06/13

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こんにちは!私、日本でメディカルイラストレーターとして活動しております、株式会社LAIMANのライアン杏莉です。

 

ここでは、メディカルイラストレーションという職業について私見も交えながらお話ししていこうと思います。

 

今回は「メディカルイラストの必要性」の論文紹介第三弾です!

第二弾では、イラストが医療や教育の現場においていかに有効かを実証した論文を紹介しいたしました。

 

第三弾は、イラストという媒体を超えて、医療分野においての3DCG、アニメーションやVRを使った学習効果を実証した論文を紹介していきたいと思います。

 

一つ目に紹介する論文は制作物ではなく写真を3D化して作られた教材の効果を検証したものです。

2016年ブラジルでのde Faria博士は、医学部生84名を対象に、どのような媒体が大脳辺縁系の解剖学的名称を学習するにおいて有効か検証した研究を発表しています。静止画のみのレクチャーを受けたグループと、脳の解剖を多角度から撮影した動画を3Dゴーグルを使いレクチャーを受けたグループでは、3Dの教材を使ったグループの方がテストで13.1%高い点数が取れたことがわかりました。脳の解剖学など、複雑な構造を理解する上では、3D教材の方が効果的なのです。こちらの論文は写真ですが、写真では見えにくい解剖学の構造を3DCGモデルで作ったり、どのように教材をデザインすれば効果的か提案する作業も、メディカルイラストレーターの仕事の一つです。

<研究で使用された教材>

 

2004年に米国で発表されたMcClean博士による研究では、分子生物学における翻訳のプロセスを学習する際に、アニメーションが非常に効果的であることが証明されています。生物学を受講している大学生26人を①図解のみのレクチャーと個人復習のグループ(12人)と、②アニメーションをレクチャーと個人学習のグループ(14人)、に分けて理解度(テスト)と自信度(アンケート)を測ったところ、⓶のアニメーションを使ったグループの方が理解度が36.75%高く、回答時の自信度も25.58%の差がつきました。こういったアニメーションの制作も、メディカルイラストレーターが担います。

<研究で使用された図解とアニメーション>

 

最後に紹介させていただく論文は、VRの有効性についての研究です。VRは飛躍的な成長が期待される技術です。VRが医療の現場で使用される際にも、コンテンツの正確性を重視するため、メディカルイラストレーターが制作やデザインを担当することがあります。2002年に米国で発表されたSeymour博士の研究では、外科医のトレーニングの際にVRを使用する有効性が実証されています。16人の研修医を①VRなし(8人)②VRあり(8人)のグループに分け、腹腔鏡胆嚢摘出手術の練習をさせました。後に実際の手術の精度を先輩の外科医から審査を受けた結果、VRを使った研修医の方が、29%早く手術を完了させ、ミスが6分の1に減りました。2002年の原始的なVR技術でさえもここまで劇的な効果が発揮されるのであれば、現在の高精度なVR技術は更に有用だと言えるでしょう。

<トレーニングで使用されたVR画面>



メディカルイラストレーターの業務の一つとして、医療者と技術者の架け橋となるコミュニケーターとしての役割もあります。レーマンで制作する医学的、解剖学的に精度の高い3DCGモデリングは、メディカルに関するVRコンテンツの核とも言えるでしょう。将来の臨床医療や医学教育がVRによってどのように革新を遂げていくか目が離せません。

 

 

さて、「メディカルイラストの必要性:論文紹介シリーズ第三弾」参考になりましたでしょうか?

まだまだ紹介したい論文はたくさんございますが、今回にてシリーズ完結になります。メディカルイラストレーションという業界がいかに必要であるか少しでも伝われば幸いです。



参考文献:

de Faria, J. W., Teixeira, M. J., de Moura Sousa Júnior, L., Otoch, J. P., & Figueiredo, E. G. (2016). Virtual and stereoscopic anatomy: When virtual reality meets medical education. Journal of Neurosurgery, 125(5), 1105-1111. https://doi.org/10.3171/2015.8.jns141563

 

 McClean, P., Johnson, C., Rogers, R., Daniels, L., Reber, J., Slator, B. M., Terpstra, J., & White, A. (2005). Molecular and cellular biology animations: Development and impact on student learning. Cell Biology Education, 4(2), 169-179. https://doi.org/10.1187/cbe.04-07-0047

 

Seymour, N. E., Gallagher, A. G., Roman, S. A., O'Brien, M. K., Bansal, V. K., Andersen, D. K., & Satava, R. M. (2002). Virtual reality training improves operating room performance. Annals of Surgery, 236(4), 458-464. https://doi.org/10.1097/00000658-200210000-00008

 

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